フィリピン映画祭2026 in 東京

2026.03.09

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映画祭開幕!バイス・ガンダさん来日!

<2026年2月28日(土)K’s cinema オープニング作品上映前 舞台挨拶再録>

■司会:皆さん、大変お待たせいたしました。オープニング作品『コール・ミー・マザー』の上映前舞台挨拶を始めさせていただきます。早速ご紹介します。主演のバイス・ガンダさんと監督のジュン・ロブレス・ラナ監督です。どうぞお入りください。

私はメインオーガナイザーのSpanic Filmsの曽我満寿美と申します。本日はよろしくお願いいたします。2025年の大阪アジア映画祭で、『そして大黒柱は…』というラナ監督とバイスさんが主演した作品で、お二人の作品に惚れ込んでしまいまして、今日は(お二人がコラボした)2作品目となる『コール・ミー・マザー』が上映されることとなりました。この作品、とてもユニバーサルなテーマが描かれていますが、主人公の正直な表現にとても惹かれました。演出も含めて、どのように主人公の役作りをされたのかお聞きしたいと思います。

■バイス・ガンダ: ここ数年間、いろいろな役を演じてきました。兄弟役、息子役、軍人役など。しかし、母親役を演じたのは今回が初めてです。ジュン・ロブレス・ラナ監督が新しいコンセプトを考え、私にこの母親役が最適だと考えてくださったんです。そしてこのキャラクターを演じることになり、私にとってとても人生を変える経験となりました。実は、フィリピンでは、私はファンやサポーターの方々を「私の小さなポニーたち」と呼び、彼らは私を「マザー・ホース(母馬)」と呼んでくれます。幸運なことに、フィリピンの多くの人々から愛され、母親のように見られることが多いです。その経験が、この映画で母親役を演じる際にとても役立ちました。監督のジュン・ロブレス・ラナさんに感謝しています。…ところで、どうして私をこの役に選んだんですか(笑)?

■ジュン・ロブレス・ラナ監督: 自分の甥っ子たちがバイスさんのファンであること、クリスマスにはいつもバイスの映画を一緒に見たりしている事、その様子を見る事がすごく好きでした。いつだってバイスの映画は甥っ子たちを笑わせてくれているからです。そんな中でチャンスが回ってきて彼女と一緒に仕事をしたいと願ったのです。最初の『そして大黒柱は…』の時は、彼女がそれまでよく組んで仕事をしてきたウィン監督との素晴らしい作品や、またメメの過去の様々な映画の中の役柄が作品の中に活かされるような形でスタートして、また彼女はそれをやり切りました。なぜなら私は彼女のファンでもあるからです。その上で次の作品へとの流れになったのです。私たちは常に話し合います。どんな風にやろうか、役柄はどんな風に作っていこうかと。なぜならそれらの取り決めはあなたがた観客に共感を呼ぶことになっていくからですし、このことは私たちにとってとても重要な事なんです。映画の中で私たちが映し出そうとしていることは観客に共鳴を呼び、最初はフィリピン人の間で広がり、そして物語は今グローバル単位で共鳴していっていると思っています。フィリピン人の物語が最終的には世界の物語へ、何故ならこれは血のつながりを問う家族の物語へと発展しているからです。

■脚本の完成にはどのくらいの時間を必要としましたか?

■ジュン・ロブレス・ラナ監督: 脚本を作るのはとても長いプロセスです。私たちには母国にクリエイティブチームがいて、2人の脚本家、ステイシーとダニエルがいます。彼らとは以前に『End of Bed』や『そして大黒柱は…』といった作品で一緒に仕事をしました。そして、今回もまたこの作品に取り組みました。脚本は“生きている”ものなんです。生きているというのは、撮影を進める中で形が変わっていくという意味です。撮影中であっても、感情やフィーリングに応じて、どのように進めるべきかを考えながら脚本を調整していきます。ですから、最後の編集作業の日まで脚本は修正され続けました。編集作業に入ると、それはまるで新しい映画を作り上げるようなものです。脚本に命を吹き込み、作品にふさわしい形を与えようとします。また、この作品をメトロマニラ映画祭(Metro Manila Film Festival)で上映することを考慮して、観客を意識しながら制作しました。この映画は母親についての物語であり、フィリピンでは母親が非常に尊敬される存在です。我々の社会は母系社会であり、母親たちを敬う文化があります。そのため、このテーマは非常に重要でした

■バイス・ガンダ: 実際、ジュン・ロブレス・ラナ監督とのコラボレーションは本当に素晴らしいものでした。彼は私をいつも非常に尊重してくれましたし、私の意見や考えを大切にしてくれました。彼は私をただの俳優としてではなく、プロジェクトの一部として扱ってくれたんです。彼は脚本についての私の意見を尋ねてくれましたし、私が感じることや考えを共有する機会を与えてくれました。

彼は、私にとって初めての観客だったんです。つまり、私が演じたシーンを最初に目にしてくれる人であり、私がどう感じているかを聞き出してくれる人でした。そして、私が納得するまで話し合い、意見を取り入れてくれました。彼は私のコメントやアイデアを待ってから、最終的な編集作業に取り掛かってくれたんです。このように、私たちは常に一緒にコラボレーションしていました。

私はあなたが演じる主人公が自分の気持ちに正直なところにとても感動しました。それはそうした脚本の初期から関わっていたから可能だったのでしょうね?

■バイス・ガンダ: この役を演じることは簡単でもあり難しくもありました。まず、難しい点からお話しすると、感情的にも肉体的にも非常に消耗する経験でした。なぜなら、多くの他のキャラクターと対峙しなければならないシーンがたくさんあったからです。そして、それは本当に身体的に挑戦が必要なものでした。そして同時に、感情的にも非常にチャレンジングでした。母親についての物語に取り組むとき、それは私たちの感情のすべて、あるいはほぼすべてを必要とします。最も深い感情から、母親や愛する人に対して感じられる最も想像を絶する感情まで。ただ、同時に簡単でもあります。なぜなら、私はさまざまな種類の母親の愛を経験することができる幸運な立場にいるからです。私を産んでくれたとても愛情深い母親がいます。そして、私の面倒を見てくれたさまざまな種類の母親がいます。…実は、私が小学校から大学を卒業するまで、私の教育を支えてくださったのが日本人女性のトクラノリコさんという方でした。彼女は私に奨学金を提供してくださった方で、私は彼女に直接お会いしたことが一度もありません。それでも、彼女は私を支え続けてくれました。毎週私たちは手紙を交換していて、彼女からの温かい言葉や励ましが、私にとって本当に大きな支えとなっていました。ショービジネスの世界に入ってから、彼女に直接お礼を言いたくて一生懸命探したのですが、残念ながら彼女の住所が変わってしまっていて、見つけることができませんでした。彼女に送っていただいた手紙も、私の家が火事で焼けてしまい、すべて失ってしまいました。そのため、彼女の名前の漢字表記も分からず、探すのがとても難しい状況です。それでも、私は心の中で彼女を「母」として深く感謝しています。この映画で母親役を演じることができたのは、私の人生で出会ったたくさんの「母」のおかげです。トクラノリコさんも、私にとってその一人です。

■最後に、日本のファンの皆さんにメッセージをお願いします。

■ジュン・ロブレス・ラナ監督: みなさんがここに来ていただいていることに感謝致します。この映画が皆さんの心に響くことを願っています。この映画は母親についての物語です。そして、私たちがどのようにして自分自身の家族を選ぶことができるのかについての物語でもあります。また、家族において血のつながりが重要である一方で、家族に関して言えば、本当に重要なのは、私たちが払う犠牲によって築かれる絆です。この映画を楽しんでいただけたら嬉しいです。

■バイス・ガンダ: ご来場いただいた日本人の観客のみなさん、本当にありがとうございます。フィリピン人の才能とフィリピン映画の美しさが詰まったこのような機会をいただいて心から感謝しています。

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